西京子の備忘録

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実子について~『近衛篤麿日記』より~

近世の公家には「実子」というややこしい養子の形態がありました。
これは、養子とする際に、公式には、元々その家の子であったかのように装うものです。

「実子」にも久邇宮朝彦親王殿下のように、同系内でやり取りがある場合と、岩倉具視公のように、他家を相続する場合とがあります。

『近衛篤麿日記』には、この「実子」に関連することが、幾つか記されています。
「実子」については、近世の公家の日記には時折出てきますが、明治以降のものは殆ど出てきません。
近世の習慣である「実子」が、近代に入って、どのように扱われたのかを考えるのにも、貴重な記述です。

父忠凞公薨去から暫く経った、明治三十一年七月五日条に
「一 午前十時爵位局に出頭、桂主事に面会、戸籍訂正の事に付打合はす。」
とあり突然、「戸籍」や「訂正」という言葉が出てきます。
またこの後も爵位局に出頭しています。

さらに同年同月十四日条に
「一 発状 早川嘉儀別紙戸籍訂正の事に付奔走尽力せよとの事を依頼す十六日には新民法実施となれば其前に実行の必要差迫り居りたればなり」
とあり、これで、戸籍訂正に踏み切る理由の一つが、新民法施行であることがわかります。

でも何を訂正するのでしょうか?
それにしても、明後日って、かなり急ですね(汗)

さらにさらに同年同月十五日条に
「一 面会 早川嘉儀昨日依頼したる事に付尽力するとの事正午過成功の復命を為す(別項にあり)」
「一 早川嘉儀尽力により、戸籍訂正の事別紙の通聴届らる。恰好光蘭様御出中なりし故申上、大に御悦なり。」
「早川の尽力は不一方、僅に半日間に面倒なる戸籍訂正の事遂げたるは、実に其機敏を賞すべきなり。」
とあり、早川氏の尽力により、あと半日というところで、訂正の件が上手くいったことがわかります。

それに続いて「戸籍訂正願」の写しが載せてあります。
※これは編者による。

「 戸籍訂正願(写)
 拙者儀現今戸籍面故近衛忠凞九男と相成居候得共、右は
故近衛忠房長男に有之候処、去る明治五年戸籍改正の砌、
当時戸主近衛忠房より書き上げの際誤謬にして、全く前記
の通故近衛忠房長男に相違無之候間、戸籍面御訂正相成度、
此段親族連署を以て奉願候也。
 但し拙者戸籍面に依れば亡兄忠房妻光子は、実母に有之
 候間、併せて訂正相成度候也。
      東京府糀町区糀町七丁目二十番地 華族
              正三位公爵 近衛篤麿印
      親族
      東京府赤坂区福吉町二番地 華族
              従三位公爵 一条実輝印
  明治三十一年七月十五日
 東京府知事子爵岡部長職殿
 (親族の連署は二名の筈なれ共、早川の働きにより一名
 は後に追加する事との指令を得たり。追加には徳川公爵
 を依頼す。)                  」

これにより、近衛篤麿公が実は、忠凞公の九男ではなく、忠房公の長男であったことが知れます。
これを読む限りでは、まるで壬申戸籍作成の際に、忠房公が誤記されたかのように思われますが、勿論これは方便です。
何故なら『幕末公家集成』にも、慶応元年の段階で、忠房公の弟として「篤君」が挙げられているからです。
先の朝彦親王殿下のように、孫を「実子」にするという例です。
また、篤麿公も、それ以前から「厳父」など、いくら戸籍にそう記されているからとはいえ、実血縁による親子関係ではないことを微塵も感じさせることなく、日記に書き記しています。

これらは、公家社会においては何らかの意味を持っていた「実子」が、近代社会においては、意味をなさなくなっていたと推測されます。
それを訂正するきっかけが、先の新民法施行と、恐らくは、忠凞公の薨去にあると思われます。

また続いて
「五丙第六五三〇号の二(写)
             麹町区糀町・・・
                   公爵 近衛篤麿
  明治三十一年七月十五日付願、戸籍面忠凞九男とあるを
 忠房長男に、並に亡兄妻光子を母に訂正の件、聞届く。
   明治三十一年七月十五日
              東京府知事子爵岡部長職印
 (右聞届の趣、爵位局長及び糀町区長に届けたり。) 」
と載せられています。

恐らく陽明文庫にはもう少し関連史料があると思われます。

最後に、同年同月十七日条に
「一 五時比より富士見町邸に赴く。戸籍訂正願済に付、改て御吹聴の為なり。貞子、文麿同伴、九時帰邸。」
とあります。
これにて一件落着です。

それにしても、早川嘉儀氏は良い仕事しますね。
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